「遠方にある物件の売却のため買主と対面取引ができない」「健康上の問題から売買契約をおこなうのが困難」という場合は、委任状を作成して代理人に売買契約をおこなってもらいます。

委任状を作成すれば、売主本人が売買取引に参加できなくても不動産を売却することができるため、利用する人も多いのではないでしょうか。

とはいえ、「委任状ってどうやって書くの?」「委任状を作成するときに注意すべきことはある?」など、わからない点も多いと思います。

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この記事では、「不動産売却において委任状が必要になる場合」から「委任状の作成で注意すること」「委任状の書式例」について紹介していきますので参考にしてください。

不動産売却において委任状が必要になる場合とは?

不動産売却において委任状が必要になる場合は、何らかの理由から買主と対面で売買取引ができないときです。

たとえば住んでいる場所と売却物件が遠い場合や、健康や家庭の事情から売主本人が取引をおこなうのが困難な場合などが挙げられます。

売主本人が売買取引に参加できない場合は、売主が代理人に取引に関する権限を委任し、代わりに売買取引をおこなってもらうことになります。

また不動産が共有名義になっている場合に、委任状を作成して代表者のみが売買契約をおこなうケースもあります。

本来なら、共有者全員が売買契約書に署名捺印する必要がありますが、共有者全員が売買契約に立ち会えるケースはあまりありません。

契約の便宜を図るという意味でも、共有名義になっている不動産は代表者が委任状を作成して売買契約を締結することがほとんどです。

遠方にある不動産の売却をおこなう場合は、下記の記事も合わせてご覧ください。

遠方にある不動産を売却する方法とスムーズに売るための手続きの流れ

遠方にある不動産を売却したい場合、どうすれば良いのでしょうか。この記事では、遠方にある不動産の売却方法とスムーズに売るための手続きの流れ、注意点について解説しています。現地にいくのが難しくても、高く売ることを諦めてはいけません。

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代理人になる人

売主本人が売買取引できない場合、誰に代理人になってもらうのがベストなのでしょうか。

まず大切な資産である不動産の売却を任せるのですから、信頼のおける人であることが大前提になります。

そのため妻や親戚など、親しい間柄の人に代理人になってもらうのがベターでしょう。

不動産売却をお願いできる親しい間柄の人がいない場合は、司法書士や弁護士に委任することもできます。

ただし専門家へ代理を依頼するのには費用がかかるため、注意してください。

不動産売却で委任状を作成するときの注意点

不動産売却で委任状を作成するときの注意点

不動産売却で委任状を作成する場合、以下の3つの点には注意が必要です。

  • 信頼できる人に委任状を渡す
  • 代理人が取引することを買主に伝える
  • 物件情報などは正確に記載する

信頼できる人に委任状を渡す

上述しましたが、委任状は信頼できる人に渡してください。

大切な資産である不動産を売却する権限を委任するのですから、信頼できる相手でなければなりません。

たとえば買主から値下げなどの条件交渉があった場合、代理人は売主の許可を得なくても値下げに応じることができます。

また売買契約に必要な印鑑証明書などを、代理人に預けるという点についても考慮すべきです。

条件交渉を一任したり、必要書類を預けたりできる相手なのか、しっかりと検討したうえで委任状を渡しましょう。

代理人が取引することを買主に伝える

代理人に不動産取引を委任する場合、あらかじめその旨を買主に伝えておきましょう。

伝えておかないと、不信感を抱かれてしまいかねません。

またごく稀に、委任状を偽造して代理人になりすますケースもあるため、買主からすると売買取引にきた人が本当に代理人なのか不安を抱きます。

正当な代理人かどうか売主本人に連絡して確認する買主もいるため、余計な手間をかけさせてしまうかもしれません。

買主に余計な手間をかけさせたり、気を揉ませたりしないために、事前に代理人が売買契約の締結に立ち会うことの了承を得ておくのがベターです。

物件情報などは正確に記載する

後述で紹介しますが、委任状には物件情報などを記載する必要があります。

委任状に記載する物件情報は、登記簿謄本に登録されている内容を正確に記載してください。

普段使っている住所と、登記簿謄本に登録されている住所は異なるケースも少なくありませんので、必ず確認したうえで記入するようにしましょう。

不動産売買契約の委任状の書き方【書式例】

不動産売買契約の委任状の書き方

不動産売買契約の委任状の書き方に、特に決まりはありません。

ただし誰が、誰に、何を、何のためにという項目については、記載する必要があります。

委任状の書き方にはある程度、決まった型(テンプレート)があり、売却物件に合わせて項目を埋めていくだけなので誰でも簡単に作成できます。

仲介を依頼している不動産業者に、委任状の記載内容に間違いがないか、ダブルチェックしてもらうとなお安心です。

委任状の書式例は、以下のとおりになります。

委任状の雛形

委任状

私は、◯◯市◯◯町◯丁目◯番地 ◯◯ ◯◯(委任者の氏名)に、下記の権限を委任します。

・末尾物件の売買契約に関する一切の権限
・所有権移転登記等に関する権限
・売買代金の受領に関する権限
  

(土地)

所在
地番
地目
地積

(建物)

所在
家屋番号
種類
構造
床面積

以上

平成30年6月18日

委任者
住所 ◯◯市◯◯町◯丁目◯番地
氏名 ◯◯ ◯◯   実印

不動産売買を代理人がおこなうときに必要なもの

不動産売買を代理人がおこなうときに必要なもの

代理人に不動産売買を依頼する場合、下記の書類が必要になります。

  • 売主本人の実印が押された委任状
  • 売主本人の印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)
  • 代理人の免許証やパスポート、健康保険証などの本人確認書類
  • 代理人の印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)と実印

不動産売却の基本的な必要書類についても合わせて用意しておき、代理人に預けます。

売買契約締結に必要な書類

代理人が不動産売却する場合の必要書類を紹介しましたが、そもそも売買契約を締結するために必要な以下の書類の準備もおこなわなければなりません。

  • 売主の本人確認書類
  • 権利証または登記識別情報
  • 仲介手数料の半金
  • 印紙または印紙税
  • 付帯設備表
  • マンションの管理規約(マンションの場合)
  • 土地の測量図(一戸建ての場合)

上記の書類をすべて揃えて、代理人に渡してください。

必要書類に不備があると売買契約を締結することができず、買主はもちろん、代理人や不動産会社にも迷惑をかけることになります。

買主と売買契約を締結するために必要な書類については、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

マンションの売買契約時と決済時に必要な書類一覧【売主・買主まとめ】

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不動産を高く売りたければ売主自身の努力が必要

不動産を高く売りたければ売主自身の努力が必要

売買契約に立ち会えないからといって、高く売ることを諦める必要はありません。

ただし代理人に不動産売買を委任する場合、安く売却されてしまうリスクがあるため、高く売りたければ売主自身が努力する必要があります。

金額の大きい不動産の売却では、売る人によって数百万円もの差が生じるケースも珍しくありません。

代理人が相場よりも安く不動産を売却してしまった場合、売主はモヤモヤした気持ちになるのではないでしょうか。

しかし代理人からしてみれば、代わりに手続きをおこなうというだけでも大きな負担となるため、高く売るための努力は売主自身でするべきです。

不動産売却の基本的な流れと注意点について紹介している下記の記事を参考に、後悔のない不動産売買にしてください。

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管理人からの一言「委任状を書く前に不動産がいくらで売れるか調べよう」

委任状を書く前に、不動産がいくらで売れるか調べることをおすすめします。

売却代金がわからないまま委任状を作成してしまうと、相場よりも安く売却されてしまう可能性があります。

ある程度「これくらいで売ってほしい」という希望価格をあらかじめ明確にしておき、安く売られてしまうリスクを防ぎましょう。

イエウールで一括査定したら310万も高くなった

管理人がイエウールで自宅マンションを一括査定したところ、街の不動産会社より310万円も高い査定価格をだしてもらえました。

イエウールはクレームに厳しい会社なので、不動産業者からしつこい営業電話がかかってくることはありません。

物件情報を入力するだけの簡単手続きで、すぐに売却相場が分かる手軽さも好評です。