平成29年3月に国土交通省によって「安心R住宅制度」の設立が検討され、現在、実施へ向けて取り組まれています。

安心R住宅が世間に浸透することにより、どのような効果が見込めるのでしょうか。

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この記事では、「安心R住宅とは」から「中古マンションの売却が安心R住宅でどう変わるのか」、「制度の浸透に時間がかかる理由」について解説していきます。

安心R住宅制度とは

安心R住宅制度の画像

安心R住宅とは、中古マンションについて回る「不安」「汚い」「わからない」というマイナスイメージを払拭するために作られた制度です。

現在は中古マンションというだけで敬遠される風潮が強く、売れ残るマンションも少なくありません。

売れ残ったマンションは放置するしかなく、空き家問題として深刻化しているのです。

国が定める基準を満たしたマンションを安心R住宅とすることで、中古マンションのイメージ回復を図ると同時に、質を高める狙いがあります。

安心R住宅制度が浸透し、中古マンションの流通市場が活性化すれば、空き家問題などの解決への糸口が見つかると期待されています。

安心R住宅の申請に必要な条件「新しいイメージの既存住宅の要件」

安心R住宅に必要な条件

売却マンションが安心R住宅として国から認められるためには、「新しいイメージの既存住宅の要件」を満たす必要があります。

新しいイメージの既存住宅の要件は、買主の不安、汚い、分からないというイメージを払拭することですが、具体的にどうすれば良いのかについて解説していきます。

中古マンションに対する買主の「不安」を払拭する

売却するマンションが安心R住宅に該当するためには、中古マンションに対する買主の「不安」を払拭することが求められます。

中古マンションに対する買主の不安を払拭し、安心R住宅に該当するためには以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 耐震性を有していること
  • インスペクションによって構造上の不具合や雨漏りがないと診断されること
  • マンションに雨漏りなどがあった場合は、改修が完了していること

耐震性を有しているマンションと認めてもらうために必要な条件は、昭和56年6月1日以降に建てられたもの、あるいは昭和56年5月31日以前に建てられたもので、耐震診断や耐震改修によって耐震性が確認されているものであることです。

耐震性を有しているマンションと認定される条件
  • 昭和56年6月1日以降に建てられたもの
  • 昭和56年5月31日以前に建てられたもので、耐震診断や耐震改修によって耐震性が確認されているもの

買主の心中にある、中古だと隠れた瑕疵があるのでは、という不安を取り除いてあげることが重要になります。

隠れた瑕疵…一見しただけでは分からない物件の劣化。

中古マンションの「汚い」というイメージを払拭する

中古マンションに対する「汚い」というイメージがリフォームによって払拭されているか、また外装や内装、水回りの現況の写真を情報提供しているかが、安心R住宅に必要な条件になります。

  • リフォームを実施し、綺麗になっていること
  • 外装や内装、水回りの現況の写真等を情報提供すること

日本人は新品を好む傾向にあり、汚い物件をわざわざ買いたいと思う人はいません。

「中古マンション=汚い」というイメージを取り除くことができれば、積極的に中古マンションを購入してくれる買主も増えていくでしょう。

新しいイメージの既存住宅の要件-国土交通省

マンションの情報を開示することで買主の「わからない」をなくす

中古マンションが敬遠される理由の一つとして、情報が少なくて「わからない」部分があることが挙げられます。

買主にとってわからない部分があることはリスクでしかないため、国土交通省は情報の有無の開示を安心R住宅の基準と定めました。

マンション売却時に買主の「わからない」をなくすために、「有」「無」「不明」の開示が必要な項目は、以下のとおりです。

  • 新築時の情報
  • 過去の維持管理の履歴に関する情報
  • 保険・保証に関する情報
  • 省エネに関する情報
  • 共同住宅の共有部分の管理に関する情報

売主はこれらの項目について買主から詳細情報を求められれば、答えなければなりません。

『新しいイメージの既存住宅』の情報提供制度について-国土交通省

安心R住宅制度の浸透には時間がかかる

安心R住宅制度の浸透には時間がかかる

国土交通省は平成29年の夏から制度を実施するとしていますが、実際に安心R住宅が世間に浸透するには時間がかかると思います。

なぜなら安心R住宅制度が不動産業界で広まっていくためには、まだまだ改善しなければならない点があるからです。

中古マンションの価格が割高になる

売却マンションが安心R住宅として商標を得るためには、建物状況調査(インスペクション)を実施することが要件となっているのですが、建物状況調査には費用がかかります。

建物状況調査によってメリットがあるのは買主側であるにもかかわらず、売主が費用の負担をしなければならないのであれば、調査をおこなわずにそのまま売却する人は減らないでしょう。

また売主がインスペクション代を売買代金に上乗せされてしまえば、安心R住宅は他のマンションよりも割高になってしまいます。

安心R住宅は高いというイメージがつき、買主に敬遠されてしまえば、浸透する前に制度自体が成り立たない状況に陥ってしまいかねないのです。

安心R住宅制度では直接的な空き家問題の解決にならない

空き家になってしまうような売れないマンションは、安心R住宅制度の要件を満たすことは難しく、直接的な空き家問題の解決には至らないでしょう。

売れ残るマンションは今までどおり売れ残ってしまうため、安心R住宅制度の効果は見込めないのです。

「無」「不明」の情報に意味はあるのか

買主の「わからない」というイメージを払拭するために、情報の開示が安心R住宅の要件となっています。

しかし情報の開示方法は「有」「無」「不明」の中で選択することになっており、「無」「不明」であっても選択さえしてあれば安心R住宅の商標を得ることができます。

しかしそれでは、中古マンションに対する買主の「わからない」をなくしたとはいえません。

結局、中古マンションは不透明だという印象を消すことができず、情報開示している意味があるのかどうかという問題になりかねないでしょう。

安心R住宅であるからといって劣化がないとは限らない

安心R住宅として国から認めてもらうためには、ホームインスペクションを受けることが要件となっていますが、ホームインスペクションは物件に瑕疵がないことを保証するものではありません。

マンション売却をする前にインスペクションを実施し、何も問題がなかったとしても、すべてのリスクがなくなったわけではない、ということです。

買主が安心R住宅の商標がある物件を選んだにもかかわらず、後から劣化が見つかってしまえば、中古マンションへのイメージは従来よりも悪くなってしまうかもしれません。

「安心R住宅を選んだのに意味がなかった」と、国土交通省の信頼が薄れてしまう可能性さえあります。

安心R住宅の要件がこのままでいいのか、まだまだ検討する余地があるといえるでしょう。

住宅に対する根本的な考え方を変えるのは難しい

日本と違い、海外では中古住宅の売買取引が活発におこなわれています。

アメリカなどでは中古であっても不動産売却で不利になることはないどころか、中古住宅は歴史のある建物として価値が高いという考え方さえあるのです。

アメリカ人やオーストラリア人は、売却するときに価値が下がらないようにと普段から家の手入れをすることが根付いており、日本人とは住宅に対しての考え方が全く違います。

日本での不動産購入は「人生で一度あるかないかの買い物」ですが、海外では「一生に何度かする大きめの買い物」なのです。

安心R住宅を浸透させるためには、日本人の住宅に対する根本的な考え方を変えなければ難しいのではないでしょうか。

管理人からの一言「安心R住宅の要件を満たせばマンション売却が有利になる」

安心R住宅が世間に浸透するにはまだ時間がかかりそうですが、これからマンションを売却する人は制度について知っておくことで売却を有利にすることができます。

なぜなら安心R住宅は国に認められたマンションである証になるため、買主に他の物件よりも安心・安全であるという印象を与えることができるからです。

むしろ制度の問題点が浮き彫りになる前、または世間に浸透する前が、安心R住宅である強みを生かす絶好のタイミングかもしれません。