マンション

  • コンパクトシティってどんな都市計画?
  • 本当にまちづくりは良い方向にいくの?
  • 都市部以外が荒れ果ててしまう心配はない?

このような疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。

現在コンパクトシティは試行錯誤をおこなっている段階で成功事例が少ないため、本当に必要なのかどうか疑念を持つ人がいるのも当然です。

キャラ

この記事では、そもそもコンパクトシティとはどんな政策なのかからコンパクトシティを形成するメリットとデメリットについて解説していきます。

コンパクトシティとは?簡単にわかりやすく解説【図解つき】

コンパクトシティは、中心市街地に人を集めて街の活性化を図るために作られた都市政策です。

コンパクトシティ

内閣府のホームページに、コンパクトシティの目的について記載されていましたので、参考にしてください。

コンパクトシティの形成は、機能の集約と人口の集積により、まちの暮らしやすさの向上、中心部の商業などの再活性化や、道路などの公共施設の整備費用や各種の自治体の行政サービス費用の節約を図ることを目的としている。

つまり、市街地を一箇所にまとめて生活の質の向上を狙いつつ、インフラ整備などにかかる費用を最小限に抑えようというものです。

コンパクトシティ政策がおこなわれた背景には、少子高齢化によって日本の人口が減少していることがあります。

少子高齢化に伴う課題を解決する目的でつくられた政策

総務省統計局の調べによると、2019年4月時点の総人口は1億2,615万人で、前年同月に比べて27万人も減少しているそうです。

以下のグラフからも、年々減り続けていることがわかります。

画像引用元: 「人口推計」(総務省統計局)

人口が減り続けていることも深刻な問題なのですが、日本ではさらにドーナツ化現象という社会問題があります。

ドーナツ化現象とは、中心市街地から郊外へ人が流れて中心部が空洞化することをいい、人口分布図をみるとドーナツのように見えることからその名前がつきました。

中心市街地の土地は狭くて高いため、安くて広い土地を求めて郊外へ移り住む人が増えたことがドーナツ化現象の主な原因です。

自動車や交通機関の普及によって郊外から都市へいくのが容易になったことも、ドーナツ化現象を加速させた要因の一つでしょう。

そこで国は、コンパクトシティ政策に乗り出しました。

コンパクトシティ政策によって具体的にどんなメリットがあるのか、紹介していきます。

どんなメリットがあるの?コンパクトシティ構想の3つの利点

東京都

コンパクトシティを形成するメリットは、以下のとおりです。

  • インフラ整備などにかかる費用を節約できる
  • 生活用品の購入や病院への通院が困難な高齢者を減らすことができる
  • 災害時の被害を最小に抑えることができる

インフラ整備などにかかる費用を節約できる

コンパクトシティ政策によって郊外に移り住む人が減少すれば、インフラ整備にかかる費用を節約することができます。

インフラ整備とは、交通機関や通信施設、電気、ガス、下水道などを整備することによって、生活の質を向上させることをいいます。

インフラ整備は、国そのものの質を高めるためにも必要なことです。

内閣府のホームページにも、インフラ整備について以下のように記載されています。

インフラは、国や地方経済の成長の基盤であり、国民生活の質を高めるものでもある。また、インフラの整備が不十分であることが、社会サービスへのアクセスを妨げ、地域格差を拡大し、社会の安定を阻害する要因となる場合もある。インフラ整備の状況は、国内企業や外国企業の投資の決定要因ともなり、アジアが今後も成長率を高めていくために、重要な要素となっている。

しかしドーナツ化現象が深刻化している現在、整備しなければならない地域は増え続けています。

インフラ整備にかかる費用が膨らみ、日本の財源を脅かしているということです。

コンパクトシティ政策をおこなうことによって、インフラ整備にかかる費用を大幅に削減できるというメリットがあります。

生活用品の購入や病院への通院が困難な高齢者を減らすことができる

費用問題などから、インフラ整備がおこなわれていない地域も少なくありません。

インフラが整備されていない地域に住んでいる人は、スーパーや病院、市役所などの公共施設が近くにないため、生活用品の購入や病院への通院、各種手続きをおこなうのが困難です。

特に高齢者の場合、自動車の運転ができなかったり、長距離の移動が負担であることから不便を強いられているケースも珍しくありません。

コンパクトシティ政策によって、このような買い物難民や交通難民を減らすことができます。

厚生労働省は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりとして、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。

厚生労働省がイメージする地域包括ケアシステムは、以下のとおりです。

引用元: 厚生労働省 地域包括ケアシステム

安全な地域に移住するから災害時の被害を最小に抑えられる

コンパクトシティによって人口を中心市街地に集めることで、災害時の被害を最小に抑えられます。

人口が集中したところに地震などが起これば被害は拡大するのでは、と思われる人もいると思います。

しかしコンパクトシティは、安全な地域に作られます。

地盤のゆるい地域に住んでいる人や土砂災害の懸念がある山間部に住んでいる人に比較的、安全な地域に移住してもらえるということです。

人口が集中すれば災害時の救出も迅速に対応できるようになり、助けられる人も増やせるでしょう。

最近では、台風19号の記録的豪雨によって河川が崩壊し、74人もの方がなくなる悲しいニュースもありました。

台風19号 74人死亡 55河川で決壊 全容は不明 | NHKニュース

田舎暮らしをしている人の安全が懸念されている今、コンパクトシティ政策のより迅速な対応が求められます。

コンパクトシティ政策の問題点と今後の課題

市街地

コンパクトシティにはメリットがある一方で以下の問題点があり、政策を進めるうえでの課題となっています。

  • 騒音問題や近隣トラブルが増える
  • 農家が減って食料自給率が減少する
  • 渋滞問題が発生する

騒音問題などの近隣トラブルが増える

中心市街地に人口が集中すれば、当然ながら住宅も密集することになります。

一軒一軒の距離が近くなれば、そのぶん騒音問題などの近隣トラブルが増えることが懸念されます。

一度、近隣トラブルに発展してしまうと、関係性を修復することは難しく、居心地の悪いまま住み続けなければならなくなります。

近隣トラブルは、裁判沙汰になるケースもあるほど深刻な問題です。

マンションの騒音問題で殺人事件に!?苦情をいう前に読んでほしい解決マニュアル

マンションの騒音で悩んでいる人へ。感情のまま苦情を言ってしまうと、トラブルに発展して数年単位で戦わなければいけなくなる可能性があります。本意ではない裁判に発展させるよりも、早い段階で第三者機関に相談&自分でも防音対策をして円満解決へと導きましょう。

6,121view

コンパクトシティ化を進めていくうえで、騒音問題などへの対策を切り離すことはできません。

農家が減って食料自給率が減少する

コンパクトシティ政策が進んだ場合、農業離れが加速する可能性があります。

農林水産省の調べによると、平成28年度の日本の食料自給率は38%で、残りの62%は輸入によって賄われています。

輸入に頼っている現状では、何かしらの理由で輸入が止まってしまった時に、食料不足に陥ってしまうおそれがあるでしょう。

農業離れが問題視されているにもかかわらず、コンパクトシティによって中心市街地に人口を集めてしまえば、農家が減るのは目に見えています。

農家の高齢化が進んでいる今、どちらにしても何らかの対策が必要ですが、コンパクトシティを実現していくためには避けられない問題です。

渋滞問題が発生する

渋滞

人口が集中すると、どうしても交通渋滞が発生してしまいます。

渋滞が発生すると時間が取られるのはもちろん、エネルギーの無駄遣いや排気ガスによる大気汚染などの問題が引き起こります。

また渋滞によって人々に与えられるストレスや交通事故のリスクが高まることも無視できません。

NEXCO西日本の調べによると、渋滞時の交通事故発生率は通常時のおおよそ30倍にもなるそうです。

渋滞発生時の死傷事故率は、非渋滞時(渋滞していない時)の30倍以上となります。

住みやすい街づくりをするはずが、交通事故発生率が高くなってしまえば本末転倒です。

日本のコンパクトシティにおける失敗事例と成功事例【富山・青森】

市街地

次に、コンパクトシティ政策の事例について紹介していきます。

失敗事例と成功事例それぞれ紹介しますので、参考にしてください。

失敗事例:青森市の再開発ビル「アウガ」の経営破綻

青森市はコンパクトシティ政策の取り組みとして、2001年にアウガという再開発ビルを開業しました。

アウガは商業施設や図書館などが集まった施設だったのですが、初年度から赤字を記録し、最終的には経営破綻となってしまいました。

再開発ビルであるアウガが初年度から赤字だったことについては、WEBニュースでも以下のように取り上げられています。

開業初年の2001年の売上高は計画を大幅に下回り約23億円であり、約2億5000万円の赤字だった。

郊外に出ていった人を中心市街地に戻すためには、いかに住民にとって住みやすい街づくりをおこなうかがキーポイントになります。

単純に人を集めるための施設を作るだけでは、住みたいと思ってもらうことはできません。

青森市は最初でつまずいてしまったため、長期的な取り組みが必要なコンパクトシティの形成は実現しませんでした。

成功事例:富山市のLRTを活用した街づくり

富山市は、コンパクトシティを目指すために、LTR(Light rain transit)という富山ライトレールを活用した街づくりをおこなっています。

引用元: ポートラム(富山ライトレール) | 富山市観光協会

街を走るLRTによって、自動車への依存を減らし、交通渋滞を軽減する効果があります。

自動車を使えない高齢者などが快適に暮らす環境を整えるためにも、このような取り組みは非常に大切です。

その他にも、高齢者の公共交通料金の割引や、動物園などの入園を無料にするなどの政策もおこなわれています。

富山市は「富山マスタープラン」を策定し、住みやすい街づくりに力を入れたことが成功につながった要因でしょう。

管理人からの一言「コンパクトシティ成功のカギは住みやすい街づくり」

コンパクトシティを成功させるために、自治体は住みやすい街づくりに力を入れなければなりません。

とはいえ、郊外に出ていった人たちに中心市街地へ戻ってきてもらうのは、簡単ではありません。

長期的な計画を立て、国と自治体が協力して政策をおこなう必要があるでしょう。